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終了「ApacheCon Europe 2005」現地レポート

ドイツ・シュトゥットガルトで開催されたApacheCon Europe 2005に参加してまいりました。現地からのレポートを紹介いたします。

「ApacheCon Europe 2005」現地レポート

株式会社アークシステム 黒住 幸光

ドイツ・シュトゥットガルトにてApacheCon Europe 2005 が開催

ドイツ・シュトゥットガルトにてApacheCon Europe 2005 が開催

Apache Software Foundation (ASF) が開催するテクノロジカンファレンスであるApacheConに参加したレポートを紹介する。ApacheConはASFが主催するテクノロジカンファレンスとして、2000年にアメリカ・フロリダで開催されたのを最初に、毎年アメリカで開催されている。今回はドイツ・シュトゥットガルトにてApacheCon Europe 2005が開催された。アメリカ以外での開催は初年度の2000年にイギリス・ロンドンで開催されて以来、実に5年ぶりである。

シュトゥットガルトは、メルセデス・ベンツやポルシェの本社工場があることで知られている。町は小高い森に囲まれており、多くの木々、古い宮殿や建物とその庭園がホテルや公共施設としてそのまま残された、ヨーロッパの歴史を感じさせる綺麗な町である。ApacheCon Europeはその町で静かに、そして熱く開催された。

手作り感のあるイベント

手作り感のあるイベント肝心のApacheConであるが、まずイベントとしての全体の雰囲気は、お祭りというよりも学会に近い雰囲気といえば伝わるだろうか。筆者はApacheConへの参加は初めてであったため、アメリカでの様子は知りえないが、今回のApacheCon Europeだけに関して言えば、Sunが開催するJavaOneに代表されるベンダー主催のイベントと比べると、非常に硬く真面目な雰囲気がある (決して、ベンダー主催のイベントが不真面目という意味ではない) 。強引にイベントを盛り上げようという空気はここにはまったくなく、「純粋に技術や知識を共有しよう」という空気が流れているのだ。受付の写真からもわかるように、非常に手作り感の強い、まさに有志が作るオープンソースのイベントといった雰囲気であった。

プロダクトに対する参加者の熱い思い

日程は、メイン日程 (3日間) 以外に前2日間のチュートリアルセッションが設けられていた。チュートリアルセッションは、Geronimo、Cocoon、Webサービスといった特定テーマやプロダクトについての実装方法や利用方法といった内容で、デモを交えた集中的なレクチャが行われた。チュートリアルセッションは1テーマ3時間におよぶ長いセッションであったが、普段利用しているプロダクトのコミッタ (開発に携わる権限をもつ人) や、書籍の執筆者が直接レクチャするということもあり、参加者全員が熱心に耳を傾けていた。

講演者の話に割り込むように質問や意見、さらには会場同士での意見交換なども見受けられ、参加者のプロダクトに対する熱い思いと愛情が伺えた。

Apacheコミュニティのヨーロッパオフ会

メイン日程では、オープニングセレモニの後にベルリン技術大学のHorst Zuse博士によるコンピューターの歴史の講義が行われた。ヨーロッパを軸にした世界の計算機の歴史を貴重な写真や動画を交えて面白く紹介し、会場を沸かせていた。その後はプロダクトやテクノロジに関するセッションが並行して開催されるという一般的な構成だ。セッションの内容はASFが主催するだけあってApacheのプロダクトにフォーカスした内容がほとんどであったが、なかにはASFの組織そのものを紹介するセッションや、コミッタに対する心構えや必要な知識などをレクチャするセッションも見受けられた。興味深いのはApache配下では開発が行われていないPHPに関するセッションが複数見受けられたことだ。ヨーロッパでもPHP人気は健在のようだ。

Apacheコミュニティのヨーロッパオフ会各セッションともチュートリアルとは異なり1時間枠での内容となるため、プロダクトオーバービュー的な色合いの強いセッションが多いのが残念であった。各セッションともあまり踏み込んだ内容は見受けられなかったが、セッション後の質疑応答や休憩時間には、バグ情報の交換や機能のリクエスト、プロダクトの感想といった情報交換が活発に行われており、Apacheコミュニティのオフ会としてApacheConを利用している参加者も多いようだ。多くの参加者はこれが、真の目的なのかもしれない。

また、普段はあまりフォーカスされないGumpやForrestといったApacheの開発を支えるプロダクトのセッションも開催されているのが、いかにもASF主催のイベントといった感である。

実際の参加人数はメイン日程で約280名 (登録者数) と、決して多くはない。ヨーロッパからの参加者が当然多いが、講師以外にもアメリカからの参加者もいるという話である。アジア勢は私を含めて数名程度と少数派だ。

展示会場も手作り感いっぱい

展示会場も手作り感いっぱい同時に展示会場も併設されスポンサー企業などの出展ブースも設けられていた。とは言っても、前述したように有志で作る感覚のイベントであるため、非常に簡素な場となっている。出展も10に満たないブースしかないが、来場者は休憩時間に各ブースに集まり熱心に話をしていたのが印象的であった。出版社のブースでは、Eclipse、Strutsと並んで Tapestory、PHPのドイツ語の書籍や関連雑誌が展示、販売されておりヨーロッパでのシェアを図るよいバロメータになっていた。セッションの合間には展示会場の横でドリンクサービスが行われ、ほぼすべての来場者がグラスを片手に技術談義に花を咲かせていた。

いつの日か、ApacheCon Japanを・・・

筆者は仕事上の理由から全日程には参加できなかったが、今世界で注目されているプロダクトやトレンドのプロダクト、普段オンラインでしか接していないコミュニティに直接接することができ、非常に有意義な参加であったと思う。いつの日か、ApacheCon Japanが開催されるのを夢みながら、アメリカで開催されるApacheConをぜひまたレポートしてみたいと思う。

付録:ApacheCon Europeのセッションで取り上げられたプロダクト

Apache Web Server HTTP サーバー
Geronimo J2EE サーバー
Lenya Webサイトコンテンツ管理システム
Subversion リソース管理システム
Apache Cocoon コンポーネント指向のWebアプリケーションフレームワーク
Maven プロジェクトビルドツール
Turbine サービス指向のWebアプリケーションフレームワーク
Jetspeed JSR-168に対応したポータルサイト構築フレームワーク
PHP スクリプト言語
Axis2 SOAP (Simple Object Access Protocol) のJava実装
Mono ApacheHTTPサーバー上でASP.NET Webアプリケーションを実行させるモジュール
Derby Javaリレーショナルデータベース
Cloudscape 軽量Javaデータベース
Velocity テンプレートエンジン
Forrest ドキュメントプレゼンテーションフレームワーク
Gump 継続的インテグレーションをプロジェクト間で実現するツール
Lucene 検索エンジン
SpamAssassin スパムメールフィルタ
Spring DI、AOPを実現する軽量コンテナ
Commons 多彩なJavaライブラリ群
PDO PHP用データベースAPI
APR 各種のプラットフォーム依存部分を隠蔽するライブラリ
FOP Javaベースの印刷フォーマッタとレンダ
Beehive メタデータ駆動のJavaアプリケーションフレームワーク
MyFaces JSFの実装
James メールアプリケーションサーバー
Ant プログラムビルドツール
MySQL データベース

開催データ

名称 : ApacheCon Europe 2005 (別ウィンドウで開きます)
主催 : Apache Software Foundation
日程 : 2005年07月18日(月)~22日(金)
会場 : Haus der Wirtschaft (ドイツ・シュトゥットガルト)

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