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第4章 :システム移転に際しての運用面への配慮

1システム移転元での運用面への考慮点

テクノロジー面や推進面のほかに、システム移転の成功を左右する要素として、運用面への配慮があげられる。システム移転によって、運用メンバーが変わったり、設備面の違いによりオペレーションが変更になったりと、運用周りの変更も多数ある。また移転期間中は、通常運用と移転・テストにともなう暫定運用が混在することになる。

ここでは、「運用保守部門 (システム運用担当) 」の視点から、考慮が必要と思われる点について述べる。ぜひ、移転プロジェクト担当の方に参考にしていただきたい。

システム移転元

運用保守部門 (システム運用担当) の視点からの考慮点

  • 移転によって、運用手順にどのような変更が発生するかを判断するためには、まず現在の運用を正確に棚卸しすることが重要になる。オペレーションや自動運用、日次、月次などの運用サイクルなどを鳥瞰的に把握し、移転にともなう変更ファクターの視点ですべての運用を整理することが必要である。
     
  • 移転作業時間帯を特定するため、現行業務の調査を行うが、ルールや要領書によるのではなく、あくまで実績データ (各種ログやSMFデータなど) にもとづいて調査することが肝要である。例外処理は必ずあると念頭において臨むこと。
     
  • 移転に際して、資産の棚卸しを行うことは、移転計画作成の前提作業となる。システム更改やリース切れ対応が必要な資産が明確になり、かつ移転とは切り分けた対応を計画することができるからだ。システム更改が必要なものは導入、レベルアップを済ませておき、またリース切れ対応が必要なものはリース延長や保守延長を行っておくなどの対応をとる。これらの対策を移転に先立って実施しておくことにより、移転リスクを大幅に減らすことが可能となる。
     
  • 移転作業によって、運用保守部門の負担は確実に増加する。移転プロジェクト期間中は、現行環境でのデータの吸いあげや提供など、運用保守部門でしか実施できない臨時作業が多く発生するため、普段の運用業務よりも負荷が高くなる。通常業務に影響を出さないことが必須命題であるため、臨時で人員を増やすのか、通常作業のサービスレベルを下げるのか、または一部の業務を割愛するなどの事前の判断と対策が必要である。
     
  • 24時間の監視体制を必要とするシステムが増えてきているため、運用メンバーやオペレーターの総勢はかなりの人数になると思う。すべてのメンバーに移転に関する教育や説明を行うためには、全員のシフトを考慮して開催日程を組む必要がある。また、全員に説明ができない場合でも確実にフォローを行い、メンバーへの周知・説明の不足が発生しないように、十分に考慮しておく必要がある。
     
  • 移転準備中やテスト期間中には、テストデータによる帳票や可搬性メディアの持ちこみなど、本番業務の正常運用にとってリスクとなるものが増加する。例えば、メディア管理を徹底するなど、本番データとテストデータの混乱を招かないよう、細心の注意を払う。
     
  • システム移転にあたり、オペレーションや保守業務を担当する人員がまったく新規に入れ替わり、移転先で充分な訓練期間と機会がある場合は、移転を機に「自動化」など、オペレーション負荷軽減に繋がる施策を盛り込むことは運用改善のための絶好の好機である。しかしながら、移転と運用変更を同時に行うことは、障害要因の混乱や対応の複雑化というリスクも増大するため、移転前あるいは移転後に実施することを推奨する。移転の前提となる変更以外は、移転後かつ安定稼動後に実施したい。

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